プラスチック製品ができるまでには、さまざまな工程があります。私は、その一つである金型を扱っています。お客様の要望を反映した金型の製作や、定期的な金型のメンテナンスを担当。その他、お客様への提案やアドバイスなど、金型に関する業務全般を行っています。
旭化学工業に入社して10年が経ちますが、入社当時の苦労は今でもはっきりと覚えていますね。学生時代は、コンピュータのプログラムについて学んでいたので、金型の知識は全くありませんでした。そのため、金型の細かさにただ、驚かされるばかり。0.1mmでも寸法がずれた金型は決して使うことができません。たった0.1mmでも金型の世界では非常に大きなミスなんです。さらに、金型は一度作り始めてしまうと、作り直しができません。少しでも角度が違ったり、削りすぎてしまうと後戻りできず、最初からやり直しです。学生時代、プログラムを制作していた頃の「とりあえずやってみよう」から「慎重にやる」というスタンスに変えるのに1年近くかかりましたね。
今だから話せますが、2年目までは些細なミスの繰り返しでした。図面の細かいところを見落として、金型を削りすぎてしまい、先輩に迷惑をかけたことも。正確な金型を作ることに苦心した経験があるから、なおさら今、金型にお客様の要望をうまく反映できたときはこの上ない達成感が得られます。その金型から良い製品ができたときは、ガッツポーズが出るくらい嬉しくなりますね(笑)。
ここまで経験を重ねても、日々感じるのは、金型の仕事はとても奥が深く、難しいということ。ですから、目標は、周りから信頼される金型のエキスパートになって、「金型のことは夏目に聞けばわかる」と言ってもらえるようになることです。
私は、金型の専門的な知識を持っていたわけではありません。だからこそ、入社してから人よりたくさん学んで知識を身につけてきました。学生時代までは勉強が嫌いでしたけど(笑)、旭化学工業に入社して、わからないことを学んで、知る楽しさを知りました。それに加え、先輩が一つひとつしっかりと教えてくれたので、不安はありませんでしたね。経験がなくても、ものづくりの醍醐味を追求したいという人には大いにやりがいのある仕事だと思いますよ。